Deep Dive 2026.04
SWIFT × Ripple Treasury
何が変わったのか?
「RippleがSWIFTに認められた」は半分正しく半分誤解。
メッセージ層と決済層を分けて、構造を正確に図解する。
2026.04.07 — Sources: SWIFT, Ripple, GTreasury, CoinGape, CoinPaper, ainvest
01 ── SWIFTの基本構造
SWIFTはお金を動かさない ── 「手紙」を運ぶだけ
従来の国際送金フロー
企業A(送金側)
▼
pain.001 送金指示
SWIFT ネットワーク
MT103 / ISO20022 メッセージ配信
MT103 / ISO20022 メッセージ配信
▼
ここまでは「手紙」= 数秒
銀行A
ノストロ口座
ノストロ口座
▶
コルレス銀行
中継・手数料
中継・手数料
▶
銀行B
ヴォストロ口座
ヴォストロ口座
ここが「お金の移動」= 1〜5営業日
▼
企業B(受取側)
核心: SWIFTは11,000行を結ぶメッセージ網。年間$150T(2.4京円)の「指示」を運ぶ。しかしお金そのものはコルレス銀行のノストロ/ヴォストロ口座(事前積立資金)で動く。この決済層に数兆ドルが凍結されており、1-5日の遅延が発生する。
02 ── Certified Partnerとは
60〜80社いる「便利ツール屋」── お金は動かさない
| パートナー | 製品 | 何をしているか | お金の移動 |
|---|---|---|---|
| Kyriba | Treasury Cloud | SWIFT経由の残高照会・送金指示・gpi追跡 | なし |
| ION Group | Wallstreet Suite | FX・金利ヘッジの管理・SWIFTメッセージ生成 | なし |
| ACI Worldwide | Real-Time Payments | リアルタイム送金処理・gpi対応 | なし |
| Coupa | Coupa Treasury | 買掛金・支払い自動化 | なし |
| Bellin / Cegid | TM5 / AllmyBanks | 中堅企業向けキャッシュ管理 | なし |
| Ripple Treasury 旧 GTreasury |
Ripple Treasury | 上記すべて + XRP/RLUSD決済 | あり(XRPL経由) |
重要: 主要なTreasury系Certified Partnerは基本的に法定通貨のメッセージ便利ツール。暗号資産(XRP/RLUSD)の決済レイヤーをTreasury基盤に統合しているのは、確認できる範囲ではRipple Treasuryのみ。ただし、SWIFT認定自体は「技術的相互運用性」の確認であり、SWIFTによる推奨や採用を意味しない。
03 ── 真実
GTreasuryは2014年からSWIFTパートナーだった
| 時期 | 出来事 | SWIFT接続 |
|---|---|---|
| 2014年 | GTreasuryがAlliance Lite2に接続 | 接続済み |
| 2019年 | Goldman Sachs Liquidity Solutions と接続 | 接続済み |
| 2020年 | Goldman Sachs Transaction Banking と接続 | 接続済み |
| 2020年代前半 | J.P. Morgan Account Balances API と接続 | 接続済み |
| 2025年10月 | RippleがGTreasuryを$1Bで買収 | 引き継ぎ |
| 2026年4月 | 「Ripple Treasury」として認定更新 + XRP/RLUSD機能追加 | + XRPL決済 |
誤解の訂正:「SWIFTがRippleを新たに認めた」のではなく、「10年前からSWIFTに繋がっていた会社をRippleが買い、ブロックチェーン機能を載せた」が正確。SWIFT接続は買収で引き継いだもの。
04 ── 構造変化
1,000社超のTreasury画面にXRP/RLUSDが統合された
Ripple Treasury ダッシュボード(イメージ)
口座一覧 ── Unified Treasury
J.P. Morgan
$2,400,000
照会
SWIFT送金
$2,400,000
照会
SWIFT送金
Goldman Sachs
$850,000
SWIFT送金
運用
$850,000
SWIFT送金
運用
MUFG
¥380,000,000
照会
SWIFT送金
¥380,000,000
照会
SWIFT送金
XRPNEW
50,000 XRP
3秒送金
50,000 XRP
3秒送金
RLUSDNEW
$1,200,000
3秒送金
$1,200,000
3秒送金
送金手段の選択 ── 同じ画面から
CFO / トレジャラー
「$100万をシンガポールに送金したい」
「$100万をシンガポールに送金したい」
▼
Ripple Treasury ダッシュボード
▼
選択肢A: SWIFT経由
コルレス銀行 → ノストロ口座
1〜5営業日 / 手数料$25-50
選択肢B: XRPL経由
XRP or RLUSD → XRPL
3〜5秒 / 手数料 ≒ $0
本当の価値: いままでXRP/RLUSDを使うには「SWIFTの外に出る」必要があった。Ripple Treasuryにより、同一のTreasury管理画面上でSWIFT送金とXRPL送金を選べる環境が整った。Fortune 500を含む1,000社超の顧客にとって、デジタル資産決済への切り替え障壁が大きく下がった。
05 ── JPモルガン・ゴールドマンの正体
「顧客」ではなく「接続先の銀行」
関係図
Fortune 500 企業
グローバル企業
中堅〜大企業
↑ 実際の顧客(1,000社超・30業種・160カ国)= ソフト利用料を払う
▼
▼
↓ 接続先 = 銀行APIを繋いでいるだけ
J.P. Morgan
残高API照会
残高API照会
Goldman Sachs
送金API + 運用API
送金API + 運用API
XRPL
XRP / RLUSD 決済
XRP / RLUSD 決済
06 ── 投資への意味
XRP 価格への影響をどう読むか
| よく言われること | 実態 | 影響度 |
|---|---|---|
| SWIFTがRippleを選んだ | GTreasuryの認定を引き継いだ(2014年〜) | 低 |
| JPM/GSがXRP採用 | API接続先であり、XRP採用とは異なる | 低 |
| 1,000社超がXRPを使える | 技術的に可能。ただし実利用はこれから | 中 |
| 切り替え障壁が大幅低下 | 同一画面でSWIFT⇔XRPL選択可能に | 高 |
| Treasury系で暗号決済統合は極めて異色 | 確認範囲では他に類似パートナーなし | 高 |
| 項目 | 以前 | 今後 |
|---|---|---|
| XRPを使うには | SWIFTの外に出る必要があった | 同一Treasury基盤上で選択可能に |
| 企業の導入障壁 | 新システム導入 + コンプラ承認 + IT統合 | 既存Treasury UIに統合済み(障壁大幅低下) |
| Rippleの位置 | SWIFT「の外」から攻める | SWIFT「の中」から提案できる |
07 ── 結論
一言でまとめると
SWIFTの城に招かれたのではない。
城の中にあった不動産を買い取って、自分の店を開いた。
そしてその店は、主要Treasury系パートナーの中で暗号資産の決済メニューを出せる極めて異色の存在。
城の中にあった不動産を買い取って、自分の店を開いた。
そしてその店は、主要Treasury系パートナーの中で暗号資産の決済メニューを出せる極めて異色の存在。
- SWIFT認定自体は2014年からGTreasuryが持っていた。Rippleは$1Bの買収で引き継いだ
- JPモルガン/ゴールドマンは「顧客」ではなく「API接続先の銀行」
- 本当の価値は「1,000社超のTreasury画面上でXRP/RLUSDが選択肢になったこと」
- 主要Treasury系パートナーの中で、暗号資産決済を統合しているのは確認範囲ではRippleのみ
- 次に見るべきは「顧客企業のうち何社がXRP/RLUSD決済を実際に利用するか」のデータ


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